「震度7に60回耐えた家。」――。7月22日付の日経新聞朝刊に三井ホームが掲載した広告のキャッチコピーです。別の面では大和ハウス工業が、繰り返しの大地震にも新築時の耐震性能を維持する技術を解説する広告を掲載していました。両社とも熊本地震の特徴である「繰り返しの大地震」が起こっても耐震性能を維持し続けることを打ち出しています。大手住宅メーカーは、熊本地震への対応をいち早く、顧客にアピールし始めています。

特集1「熊本発の耐震不安 築浅顧客に拡大」 (資料:日経ホームビルダー)
特集1「熊本発の耐震不安 築浅顧客に拡大」 (資料:日経ホームビルダー)
[画像のクリックで拡大表示]

 では、中小の工務店や住宅会社は、どんな耐震性能を顧客にアピールしていくべきでしょうか――。ぜひ、その参考にしていただきたいのが今号の特集1「熊本発の耐震不安 築浅顧客に拡大」です。本誌は、住まい手や住宅実務者が熊本地震をどう捉えているのかを知るためアンケート調査を実施し、1146人から回答を得ました。その結果、2000年以降に竣工した築浅住宅の住まい手でさえ、4人に1人が耐震性に不安を感じていることが明らかになりました。

 4人に1人という割合を多いと見るか少ないと見るか、意見は分かれるかもしれません。しかし、2000年以降の住宅は、現行の最新基準に基づいて建設されたもの。それでも不安を抱くということは、現行基準に対する信頼性が揺らいでいることにほかなりません。住宅建設のプロが「うちは建築基準法通りにやってますから」と顧客に説明しても、2割以上の人が納得しない可能性があるということです。やはり、これは「多い数字」と見るべきでしょう。

 こうなると、中小の工務店や住宅会社も、大手住宅メーカーと同じように、現行基準以上の安全性を訴求しないと、顧客に選ばれない恐れがあります。今回の特集では、顧客に勧めたい耐震レベルについて住宅実務者に尋ねました。最も多かったのは、壁量が現行基準の1.5倍である「耐震等級3」を勧めたいとの回答でした。基準法ギリギリで建設することに比べれば、はるかに余裕があります。熊本地震は甚大な被害をもたらしましたが、顧客と住宅実務者の双方で、耐震への意識が高まったとすれば、この流れを定着させたいものです。

今どきのクレーム対応も特集に

特集2「顧客を激怒させた『失言』&『無神経』」 (資料:日経ホームビルダー)
特集2「顧客を激怒させた『失言』&『無神経』」 (資料:日経ホームビルダー)
[画像のクリックで拡大表示]

 特集2は「顧客を激怒させた『失言』&『無神経』」です。本誌読者のアンケート調査に寄せられた失敗談を紹介します。

 今回の取材で分かったのは、LINE(ライン)などSNS(交流サイト)が普及したことで、顧客対応がさらに難しくなっていることです。問い合わせへの返信が遅いとイライラを募らせる顧客が増えています。

 また、顧客と接する機会の多いリフォーム工事では、職人のマナー違反に神経をとがらせる人も多くなっています。工務店や住宅会社にとっては、まさに受難の時代です。この特集を読んで、失敗から得られた教訓を日常業務に生かしてください。


日経ホームビルダー8月号の記事一覧