わが家のサイディング、かなり傷みが目立ってきたな──。

 20年以上前に建てた住宅の建て主から、そんな相談を受けることが増えるかもしれません。窯業系サイディングのシェアが急拡大した1990年代の戸建て住宅が、補修時期を迎えるからです。ところが、サイディング補修には“正解”と呼べる対応策が、どうやら存在しないようです。どう対応するか、日経ホームビルダー10月号の特集「悩ましきサイディング補修」で徹底取材しました。

日経ホームビルダー10月号の特集「悩ましきサイディング補修」(資料:日経ホームビルダー)
日経ホームビルダー10月号の特集「悩ましきサイディング補修」(資料:日経ホームビルダー)
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 窯業系サイディングが劣化した場合のメーカー推奨の対応策は「部分張り替え」です。しかし、この方法は、あまり採用されていません。特定の一面を張り替えるだけで100万円を超える工事費がかかるうえ、その部分の模様も変わってしまうなど、課題があるからです。

 そこで日経ホームビルダーは、耐久性、美観、経済性の三拍子そろった補修方法は何か、サイディング補修を手掛ける専門会社に取材しました。例えば、塗装工事会社のさくらリフォーム(さいたま市)は、部分的に腐朽したサイディングをエポキシシーラーで硬化させる独自の補修方法を実施しています。追加の費用を数万円に抑えながら、耐久性を確保する補修方法です。

 さくらリフォームの対応策は、メーカーのお墨付きを得ていない独自の方法です。しかし、「コストを抑えながら、サイディングの傷みを直してほしい」という建て主の切実な要望に応えるために生まれた現場の知恵とも言えます。

 1990年代に爆発的に普及した窯業系サイディングは比較的歴史の浅い建材で、補修の重要性が指摘されることはほとんどありませんでした。しかし、今後は傷んだサイディングの補修を求める建て主も増えるでしょう。「必要は発明の母」と言いますが、必要に迫られた住宅業界から、新しい補修技術が続々と生まれるかもしれません。そんな期待を込めて編集に当たりました。