隠れている話題を掘り起こす――。日経ホームビルダー12月号では、そんなテーマに沿った3つの大型記事を用意しました。

 まず最初にご紹介するのは、特集1「さらば手抜き!シーリング工事」です。外壁のシーリング工事は、住宅の建設工事や外壁塗装工事などの脇役と考える人が多いのではないでしょうか。その品質管理手法やトラブルがクローズアップされる機会はあまりなく、施工時に十分な品質管理を行っていないケースは少なくありません。

日経ホームビルダー12月号の特集1「さらば手抜き!シーリング工事」(資料:日経ホームビルダー)
日経ホームビルダー12月号の特集1「さらば手抜き!シーリング工事」(資料:日経ホームビルダー)
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 しかし、外壁のシーリングが甘いと、雨水浸入の起点となって様々なトラブルやクレームを招く羽目になります。特集記事では、そんなシーリング工事について、品質を徹底的に追求する達人たちのノウハウやシーリングが劣化していくメカニズムなどを分かりやすく伝えています。

 塗料の品質が向上し、外壁塗装の寿命が15年、20年と延びています。一方で、シーリングの寿命がその半分以下というのは、建て主にとって大きな不利益です。シーリングの品質を高めて、建て主の利益も提案できるようにしておくことは、住宅の維持管理で付き合っていく建て主の信頼を高めるうえでも重要でしょう。

 続いて紹介するのは、建設業許可の名義貸し問題です。リポート「名義貸しの横行が発覚」でまとめています。ここで取り上げた名義貸しは、建設業許可を取得するために有資格者の名義だけを借りてくる行為とは異なります。建設業許可を持たない会社が受注した工事の実施に当たり、建設業許可を持つ会社の名前を借りて様々な書類を作成するような行為です。

 名義を借りた会社側は、「請負金額が大きい」「瑕疵保険への加入のため」「住宅ローンの申請のため」といった項目を理由として挙げています。

 許可を取得するための名義貸しや工事を受注してきた会社が下請けに工事を丸投げする「一括下請負」といった不正行為については、これまでも散見されていました。しかし、工事を受注した会社が瑕疵保険への加入といった目的で名義を借りるような行為は、これまであまり聞いたことがありません。

 名義貸しを伴う工事のなかには、施工途中で現場を投げ出し、名義を貸した会社もその責任を取らない事態に至ったケースもあります。もちろん、建て主は大きな損害を被っています。看過できる問題ではありません。

 最後にもう1つ。特集2「採用したい建材・設備メーカーランキング2017」で、今年からランキングを集計する分野に「住宅用室内ドア」を新たに追加しました。本企画では毎年、建材や設備について、工務店や住宅会社の実務者が様々なメーカーをどのように評価しているのかをつまびらかにしてきました。

 ただ、住宅で数多く用いる重要な建材、「住宅用室内ドア」の分野のランキングをこれまで集計していませんでした。室内ドアはリフォーム需要の増大もあって、建材メーカーも商品開発の幅を広げつつあります。こうした流れを受け、新たに室内ドアの区分を設け、今号では最新の製品動向なども詳しくお伝えしました。ランキング結果とともに、その内容を12月号の記事でご確認いただければと思います。