計画通りに工事が行われたことを証明するため、省エネ基準工事監理報告書や納入仕様書、品質証明書など、着工から完了検査の申請までに用意する書類や資料が増える。スムーズに蓄積していくためには、事前の周知と準備が肝要だ。
──省エネ基準の適合義務化に当たってどのような準備をしていますか。
当社はこれまでも省エネ建築を数多く手掛けてきました。例えば、設計・監理を担った「YKK80ビル」ではBELS(ベルス)で5つ星を取得しています。4月以降はこうした取り組みに新しい手続きが加わります。
建築確認に際し、建築物エネルギー消費性能確保計画(省エネ計画)を提出し、省エネ基準への適合が求められます。完了検査時は、省エネ適合性判定を受けた計画通りに工事が実施されたかを、工事監理報告書などの書類確認や目視でチェックされます。
これらの新しい手続きに伴って、設計図のまとめ方や工事監理の確認項目など多くが変わるので、全体のスケジュール感がこれまでと大きく違ってきます。具体的に何をどうすれば業務を滞りなく進行できるか、2016年から検討と準備を進めてきました。
──これまでとはどう違ってきますか。
かなり設計内容を詰めてからでないと省エネ計画はつくれません。建築確認を申請する時期、工事を発注する時期などはプロジェクトごとに異なり、単純には読み切れません。そのスケジュールに間に合うように、資料や図面を仕上げていく必要があります。
これまでは発注者の要望などによって設計内容に変更が生じ、工期がずれこむことが少なからずありました。今後は変更が生じると、変更後の省エネ計画を提出して再度、省エネ適合性判定を受ける必要があります。
「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」による届け出では、省エネルギー計画書は承認計画書でした。設計内容に変更が生じても同様のレベルの省エネ性を持っていると設計者や発注者が考えれば、再度提出する必要はありませんでした。