日本航空(JAL)取締役会長の大西賢氏は、訪日観光に関するセミナー・展示会「インバウンド・ジャパン 2016」(7月20~22日、会場:東京ビッグサイト、主催:日経BP社、共催:ジャパンショッピングツーリズム協会)で基調講演を行い、訪日観光客を増やすには、地方の魅力を発信していくことが重要と説いた。

講演する日本航空の大西賢会長。「観光に大切な非日常性や多様性が、日本のさまざまな地方で育まれている」と話す(写真:赤坂 麻実)
講演する日本航空の大西賢会長。「観光に大切な非日常性や多様性が、日本のさまざまな地方で育まれている」と話す(写真:赤坂 麻実)
[画像のクリックで拡大表示]

 訪日観光客は2015年に1974万人と過去最高を更新した。政府は新観光戦略で、2020年に4000万人、2030年に6000万人に引き上げる目標を掲げている。これについて大西会長は「世界の人口、経済の成長からすれば、3600万人までは“自然な”増加が見込めるものの、6000万人まで増やすにはさまざまな取り組みが必要になる」との見方を示した。

 その取り組みの肝が“地方誘客”という。「現状、東京・京都・大阪のいわゆるゴールデンルートに偏っている訪日観光需要を地方に誘導できれば、訪日観光客は飛躍的に伸びる」(大西会長)。宿泊施設なども効率よく稼働できると説く。

 日本航空は毎月1つの地域の観光振興と農産物ブランド化を推進する「新・JAPAN PROJECT」に取り組んでいる。大西会長も現地を訪ね、さまざまな観光資源に触れているが、そのなかである問題意識に行き着いたという。「現地へ足を運ぶと、食べたことのない素晴らしい食事や、見たことのない景色に新鮮な感動を覚える。しかし、地元の人は毎日接している食事、景色だけに、その魅力に気付いていないことも多い。地方の観光資源の魅力をもっと発信していかなければ」

 講演では、日本航空の機内で放映している福井県の観光PR動画を紹介し、「福井は東尋坊や永平寺など、よく知られた観光資源のほかに、こんなにも魅力がある。日本中の地方には、まだまだ魅力的な観光資源が埋もれている」と訴えた。

参考動画:福の便り ~しあわせが届く故郷 福井~ - YouTube

訪日観光客数の目標の6割ほどは自然増が見込めるが、残りは増やすためのインバウンド施策が必要になると主張した(写真:赤坂 麻実)
訪日観光客数の目標の6割ほどは自然増が見込めるが、残りは増やすためのインバウンド施策が必要になると主張した(写真:赤坂 麻実)
[画像のクリックで拡大表示]