加賀屋 代表取締役相談役の小田禎彦氏(写真:安蔵 靖志)
加賀屋 代表取締役相談役の小田禎彦氏(写真:安蔵 靖志)
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 加賀屋は石川県和倉温泉にある創業約110年の老舗旅館で、約20年前から現在まで台湾から多数の宿泊客を迎えている。さらに2010年には台湾企業との合弁によって台湾の北投温泉に日勝生加賀屋をオープンし、日本旅館の“輸出”も果たした。

 訪日観光に関するセミナー・展示会「インバウンド・ジャパン2016」の2日目を迎えた2016年7月21日、加賀屋 代表取締役相談役の小田禎彦氏が基調講演を行った。

 「和倉温泉は北陸の金沢から1時間10分という入り込んだ立地にあり、決して恵まれたエリアではない。その中で何とか20年間で20万人というお客様をお迎えすることができた。13年前からは、のと里山空港に台湾からの300人のチャーター便を飛ばしていただいており、インバウンドの先駆けとして実績を残すことができた」(小田氏)

 台湾からの訪日観光客が加賀屋を訪れるようになったのは、日本車を扱う台湾ディーラー向け視察・観光ツアーがきっかけだった。日本の自動車メーカーの工場を視察した後に日本国内を旅行し、ホテルなどに泊まるというプログラムだったが、「もっと人々とふれあいたい、日本情緒と接したい」という要望から日本旅館である加賀屋に白羽の矢が立った。

 「台湾の人は何を喜ぶのか、どうしたらいいのか心配した。歓迎看板は黒字ではなくて赤字の方がいいし、畳のい草のニオイがイヤという方が意外と多い。台湾のコンビニに行くとある卵のニオイをかぐと(台湾の人々は)食欲がわくなど、言葉や文化が違えばいろいろな違いがあることが分かった。台湾のアワビは意外と小さく、白桃も以前はゴリゴリした桃だった。そういうものを何とか努力してそろえてお迎えした」(小田氏)