日経アーキテクチュア製品ガイドでは、建材・設備や各種サービスなどを紹介する記事を掲載しています。カタログ、仕様書、納まり図、施工例、施工マニュアルなど、設計や施工の実務に役立つ詳細資料もダウンロードできます。今回はBIMに関する詳細資料として、日経アーキテクチュアの特集「BIMで攻める」(2015年8月25日号)から「業務効率化で『川上シフト』【設計編】」のパートを特別に無料公開します。(編集部)


【事例】新たな作図法で意思決定を迅速化

 BIMによる技術革新は、プロジェクト関係者の設計プロセスへの早期関与を促す。日本設計は意匠・構造・設備設計の情報連携を共通のプラットフォームで実現。作図法の見直しなどを進め、意思決定の迅速化を図った。

 「動画によるビジュアルは、大きな理解の助けになった」。神奈川県鎌倉市にある私立の中高一貫校、栄光学園の望月伸一郎校長は語る。同校は創立70周年事業で、老朽化した鉄筋コンクリート(RC)造の既存校舎を建て替える。新校舎の設計を担当するのは日本設計。設計監修は同校OBの隈研吾氏が務める。大成建設が参画し、共同で実施設計を進めている。

 新校舎は、1階をRC造、2階を木造とする混構造で、橋梁で使うゲルバー梁という手法を採用する計画〔図1〕。2013年の設計業務の公募型プロポーザルでは、3階建ての既存校舎よりも階数を減らす提案が評価された。「これまでなら奇抜な提案とみなされたかもしれない。BIMだったからこそ勝てた」と、日本設計プロジェクト管理部副部長兼3Dデジタルソリューション室長の岩村雅人氏は振り返る。

〔図1〕発注者の理解を深める動画活用
〔図1〕発注者の理解を深める動画活用
栄光学園中学・高校の新校舎の完成予想図。BIMデータを動画ソフトと連携。1週間という短期間でつくり上げ、プレゼンテーションを実施した(資料:日本設計)
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「一般図に情報を盛り込む」

 日本設計はBIMに合わせた新しいワークフローの構築を進めている。岩村室長はその旗振り役だ。オートデスクのBIMソフト「Revit(レビット)」を基盤とした共通のプラットフォームを整備。ばらばらだった建築、構造、設備の情報を一元管理し、スムーズに連携できるようにした〔図2〕。

〔図2〕意匠と構造、設備の情報を一元化
〔図2〕意匠と構造、設備の情報を一元化
日本設計が掲げる新たなワークフローの概念図。意匠・構造・設備の各ワークフローで使う「情報」を一元化し、スムーズな業務連携を可能にする(資料:日本設計)
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 背景には、設計事務所を取り巻く環境変化がある。工事費高騰や職人不足から発注者は品質、コスト、工期を適正化するための発注方式を模索。実施設計業務の全部、または一部を施工者に任せる動きが加速している。日本設計の千鳥義典社長は14年9月のオートデスクとのパートナーシップ提携の会見で「基本設計、実施設計という進め方ではいかなくなる」と危機感を表明していた。

 日本設計はBIMが伝達する「情報」に着目。プロジェクトの川上段階での活用を重視する方針を決めた。「単に設計を前倒ししても設計料が増えず、負担だけが増えかねない。一方で、基本設計で決める建物の性能・仕様はそのまま引き継がれていく。この情報を3Dと融合するワークフローの構築を目指した」と岩村室長〔図3〕。

※こちらの記事は、日経アーキテクチュアの特集「BIMで攻める」(2015年8月25日号)から「業務効率化で『川上シフト』【設計編】」の記事の一部を抜粋しました。全文は、下記の「詳細資料をダウンロード」をクリックしてご覧ください。

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